ざっぱりと

髪を斬ってきました。よって今日からはNew梳野とお呼び下さい明日には通常営業ですが。



そしてWeb拍手
>10:30頃のニイピー君
いえあのものっそい私信臭に反応の仕方を悩んだと言うか電話で口上した通りです。
あと君程はパチェってないと思います。多分。きっと。もしかしたら。




── 2ndRide:Independence ──(3rd)


 セーリィを手にしている時の少年は、静止した状態からでも音速超過速度までほぼ一瞬で加速する事が出来る。
しかしその加速力も音速以下と音速以上では勝手が違い過ぎた。
 そもそもセーリィの力に頼って空を飛んでいる少年が空力特性などを考えられている筈も無く、
そんな状況で音速を超えれば当然ながら様々な問題が生まれる。
 物体が音速を超えれば其処に強烈な衝撃波が発生する。その衝撃から少年の身を護らなければならない。
その為に音速超過状態では防護障壁の出力を普段使用する貯蓄領域ではなく、常導出力から確保する必要が有るが
常導出力が普段は割り当てられない防護障壁へと回されれば、その分だけ加速力は低下せざるを得ない。
 結果として少年の飛行速度は音速を超えた所で急激に伸びなくなり、実質の最高速度はマッハ1.1ほど。
一方、旋回性を重視して設計されていると言えど、対幻獣仕様戦闘機の最高速度はマッハ1.5に及ぶ。
 その最高速度の差から来る結果は、いま正に少年が身を持って体感している最中である。
包囲された状態からでも、不意をついた急加速で一気に振り切れるだろう、と少年だけではなくセーリィも考えていた。
だが最高速度は二人の予想以上に伸びず、すぐに戦闘機の小隊にに追いつかれてしまう。
 戦闘機では到底追従出来ない急激な方向転換も、最初の数回こそは有効だった。
しかし何度か引き離しても速度差で追いつかれるのみならず、相手は編隊の理を生かして陣を組み
時間差の追撃によって一機を離せば一機が食いつく膠着状態に追い込まれる。
 ヴェイパートレイルを描きながら音速のエアチェイスを繰り広げるさなかで、
少年が僅かに覗き見たトレーインバッゼの上空には戦闘ヘリが点在していた。
 強引に降りる事は不可能では無いが、それを断行した所で意味がない。
 海面すれすれを疾走する少年と、巻き上がる飛沫に巻き込まれぬ距離をとって追従する戦闘機。
 少年が海中に潜る事を提案するが、付近の海域は比較的浅い上に透明度が高い。
更に水中となればいよいよ持って飛翔速度が激減する。あまりにもメリットに欠けた提案をセーリィは否決。
 しかしそんな無謀な方法さえ検討したくなるほどに、二人の置かれた状況は逼迫していた。
 セーリィに仕込まれた安全機構は人を対象に火力を発揮出来ない様にされており、
戦闘機に搭載された火器は守勢に徹するセーリィを凌駕するには余りにも力不足。
一見すれば互角の条件にも見える。
 だが国防軍は燃料と人員を換える事で長丁場に耐えられても、少年の方はそうも行かない。
 状況を打開する策は数える程も無い。
だが、無い訳では無い。しかしそのほぼ唯一とも言える手段さえ、不安要素は山盛りだ。
しかしそれ以外に手はない。
 決意した少年が、再度可能な限りの最高速まで加速して飛翔する。


 完璧なまでにトレーインバッゼへと背を向けて。



To be continued, 2ndRide.



予想以上に文章量が膨れてしまった事と、つい酒を飲んでしまった事もあって続いてしまいました。
まぁ、後一回以上膨れる事も無いとは思いますが……