給料日ですが

気がついたら午後四時。
いやー、あの、流石にそれは寝過ぎではないかと……


―― 3rdRide:War ――(3rd)


引き戻す黒剣の周囲に不可視かつ膨大な力が練り込まれていく。
同じ「力」を持つセーリィの感覚が正面からでは受け止められないと警鐘を鳴らした。
だが、少年に動こうとする気配は無い。
『くっ──仮想門(ロジカルゲート)開放準備、感覚強化方式、感応(シンクロ)から強制同調(オーバーライト)に。
 圧縮突撃仕様(モード・アクセルランページ)
強制起動(コンペルドブーティング)!!』
少年に可否を問うことなく、セーリィが強引に自らの起動状態を引き上げる。
だが使用者(少年)あっての兵器(セーリィ)となるべく作られた以上、独断行動で引き出せる力は本来の其とは量・時間ともに比べるべくもない。
引き延ばされた時間の中、精一杯に張り続ける防壁の中心、少年は力なくうなだれたまま。
『……お願いです』
その声は、懇願の筈だが何処か悲鳴の様な響きを含んでいた。
『お願い、顔を上げて! このままでは……!!』
圧縮突撃仕様(モード・アクセルランページ)の起動限界が迫る。セーリィがこれまでかと覚悟したとき、少年達の脇を二つの影が飛び抜けていった。
「……なっ!?」
青年が剣を振るうまでもなく防壁で防いだそれは、ミサイルと呼ばれる現代兵器だった。
いったい誰が、と問いかける前に二人の側を戦闘機が飛んでいく。トレーインバッゼに身を置く国防軍の機体だ。
そして青年を攻撃目標として捉えているのは、その一機だけではない。
「……正気ですか、貴方達は!?
 私を攻撃するとなれば、後々はライトヘイルの内紛に繋がると言うのに!
 いや、それ以前に私が貴方達を撃たなければならなくなる!!」
その為に来たのではない、と言外に叫ぶ青年の言葉に誰かが小さく呟きを返した。


──そうだな。そして俺達も、トレーインバッゼの住民を見殺しにする為に軍に居るわけじゃない。


青年の悩む番が回ってくる。だが青年は迷う事を否定した。
周囲を旋回する戦闘機の一つに狙いを定め、力を射とうと黒剣を振りかぶると──


──空を闇が覆い尽くした


3rdRide is over. Please wait next Ride.



さーてさぁーて、此処からですなぁー、と。